過敏性腸症候群

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過敏性腸症候群(IBS)は、大腸カメラ検査や血液検査で明らかな異常が認められないのに、お腹の痛みや不快感があり、便秘や下痢が長びく病気です。そのため, 過敏性腸症候群と診断するためには, 大腸カメラなどを行い, 大腸がんなどがないことを確認することが必須になります。
過敏性腸症候群は生命には関わらない病気ですが、患者さんの日常生活に与える影響は大きく、ストレスの関与も多いことから、日本を含む先進国に多く見られるようになってきています。また、一部の患者さんでは、感染性腸炎のあとにこの状態になることが明らかになっています。そして、ストレスは、お腹の症状を悪化させる要因となり, 先進国には大変多い病気であることも知られています。

症状

  • 便が思うように出ない
  • 便の形が一定にならず、便秘・下痢を日によって繰り返す。
    腹痛を伴う下痢 (便は泥状、粘液が出ることも)
    便秘、あるいは便秘と下痢を交互に繰り返す
    時折、うさぎの糞のような、コロコロした丸い便が出る
  • お腹の痛み
    排便後は腹痛が収まることが多い
  • お腹が不快、モヤモヤ、グルグルする
  • 腹部膨満感、腹鳴(ふくめい)(おなかがごろごろ鳴る)、放屁

などがありますが、体重の変化はなく、食欲も普通です。睡眠時や休日には症状が出ない、症状が1カ月以上持続しているなども特徴です。腹痛は、左下腹部に最も多くみられますが、部位が一定しないものも少なくありません。さし込むような痛みや、ずっと続く鈍い痛みに便意を伴うことが多く、排便や排ガスの後で、一時的によくなる傾向があります。一般的に睡眠中は症状がないという特徴があります。その他、頭痛、疲労感、抑うつ、不安感、集中力の欠如など、さまざまな消化器以外の症状もみられることがあります。

詳細な症状の聴取と、便性状(ブリストル便性状スケール)の確認を通して、(下痢型・便秘型・交代型)のいずれかに分類し、治療に当たっています。

診断

腸の蠕動(動き)が強くなったり、弱まったりしていることで症状が起こされますが、診断のためには他の病気でないことを確認していく必要があります。また、治療する際には腸管の形態の把握は非常に重要となります。従って、原則として、

  • 尿・便・血液検査
  • 腹部X線
  • 大腸カメラ

を行うことをお勧めします。

診断の第一段階は、特徴的な自覚症状のパターンから、まずこの病気を疑うことです。その後、ローマ基準という世界的に標準化された診断基準があり、現在は2016年に改訂されたRomeⅣ(R4)に従って診断します。

  • 腹痛などの症状が排便により軽快する。
  • 症状の有無によって排便頻度に変化がある。
  • 症状の有無によって便の状態に変化がある。

※6ヶ月以上前から症状があり、腹痛あるいは腹部不快感が、最近3ヶ月の中の1ヵ月につき、少なくとも3日以上を占め、2項目以上満たしている。

しかし、診断基準を満たさなくても、身体的な異常が見られず、患者さん本人に、腹痛や腹部不快感などの症状が出ている場合は、過敏性腸症候群と扱い、治療することも行います。

診断基準を満たしていないからといって、病院に行くことを先送りせず、症状が続いている場合は、過敏性腸症候群(IBS)でないか、きちんと検査してもらう必要があると思います。

治療方法

「命に関わることはないが、経過が長く治癒することは少ない。体質的なものでもあるため上手く付き合っていく」というこの病気の性質を理解することが必要です。症状の完全な消失にこだわらず、日常生活のなかで病気とうまく付き合っていくことが大切です。

生活・食事指導

普段の生活において、身体、心にかかるストレスが影響します(睡眠不足・過労など)。不規則な生活、睡眠不足、慢性疲労の蓄積、ストレスなどがあれば、その改善を模索します。

下痢しやすい場合は、腸に刺激のかかる食事(冷たいもの、香辛料などの刺激物)を避けるようにします。アルコールやタバコは特に下痢しやすくなります。そしてなるべく牛乳や高脂肪の食事も避けて、腸に刺激を与えないようにしましょう。

便秘気味の場合は、水分 1000〜1500ml/day 以上を取るようにし、キャベツやゴボウ、バナナ、納豆などの繊維が豊富な食品を積極的にとって、自然にお通じを促しましょう。あわせて、乳酸菌やオリゴ糖の摂取を心がけます。その上で腸管形態と合わせ、腸管に刺激を与えられる運動(ラジオ体操など)の習慣を生活に加えていきます。

薬物療法

便性状と、腸管形態・症状を合わせて考慮し、適切な薬剤を選択して行きます。

内服薬での治療と、生活習慣の見直しが治療の二本柱となりますが、ストレスの影響が強い場合などは心療内科・精神科的なアプローチが有効なことがあり, 適切な医療機関にご紹介する場合がございます。

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