受けてよかった大腸カメラとは? ADRについて

大腸カメラにも質の差があることを説明します。

なぜ大腸カメラの精度管理が必要なのか?

大腸カメラが『上手』。皆さん、いろいろな状況を想像されると思います

検査の準備(前処置)がつらくなかった、カメラが早く終わった、カメラの痛みがなかった、そして終わった後楽だった

しかし実はこれらが全てではありません。大腸は元々多く『ヒダ』を持ち、複雑に走っているためただの筒状の内臓ではありませんため、実は病変の発見にはある程度の訓練と、検査の工夫が必要なのです。

何が『よい』大腸カメラなのでしょうか?『上手な』カメラなのでしょうか?

それには大腸カメラの目標とするところは何か、を知る必要があります。一般に大腸カメラを受ける理由は大きく3つです。

1. 腹の痛みの原因を調べたり、排便に血液が混じっていたり、慢性的に水っぽい便や、ころころの便がでる方(=症状がある人)が、原因を調べるため

2. 検診で行われた便潜血検査が陽性、便に血液が混じっていた方への精密検査として(=スクリーニング)

3. 以前に大腸ポリープを切除したことのある方が、他の場所にもポリープがでてこないかの経過を見る検査(=サーベイランス)として

共通するのは、『大腸がん』を早期に発見し、治療につなげることが最も重要と言えます。つまり身体に有害なことを起こす病気をカメラで早く見つけて、その後の病気、大腸がんの発生を減らすこと、がカメラを受ける一番の目的といえます。

すなわちカメラは楽だったけど、がんやポリープなどが発見できなかったとなるのがあまり好ましいことではないのです。

精度管理の指標 「大腸腺腫発見率(Adenoma Detection Rate: ADR)」

基本的なカメラの挿入、観察の技術は実は胃カメラよりも大腸カメラで高度に専門的な技術が必要とされます。胃カメラを扱うクリニック・病院と、大腸カメラを扱うクリニック・病院の数だけを単純に比較しても大腸カメラを扱っている病院の数の方が少ないのもその理由です。

専門医は、駆け出しの最初の2-3年は、まずは胃カメラから学び、基本操作を習得したあとから、大腸カメラ習得を目指すのが一般的です。大腸カメラの挿入・観察が安定して行えるようになるのに最低でも2-3年程度の修行期間が必要となります。これにはきちんとした教育体制が整っている、大腸カメラを専門に取り扱う病院、内視鏡学会指導医が在籍している病院へ『弟子入り』して学ぶ必要がありますが、残念ながら全ての医師がその研修をしたから全員が同等の技術を必ず習得できる訳ではありません。日々の見取り稽古、そして体系立てた技術・理論の習得が必須になり、各種の研修、勉強会、研究会、手術のDVDなどをいかに習得し、貪欲に吸収していくかが医師にとって重要です。

そして、その結果で内視鏡医師がどの程度のレベルに到達しているか、あるいは一定のレベルに到達した後に、日々の検査でそのレベルを維持できているか ということが一般の患者さんは最も知りたいところなのではないでしょうか? 簡単に言えば『大腸カメラを受ける病院をどうやって選ぶのか』をどうやって決めるのか、ということです。日本消化器内視鏡学会のガイドラインでは、大腸内視鏡検査の質の指標として、「大腸腺腫発見率(Adenoma Detection Rate: ADR)」について言及されています。ADRとは、その大腸カメラにおいてどれくらいの確率で大腸腺腫というポリープが発見されるか、という指標です

大腸腺腫とは発がんする力を持つポリープのことです。当院では『がんの芽』と扱っています。

そして、2010年にKaminskiらによって、ADRが低いと「がんの見落とし」が起こりやすいと明らかにされました(Kaminski et al. NEJM. 2010)

見落としがんは少なければ少ないほどよいため、ADRは高ければ高いほどよい、とされます。

ではどの程度のADRがあれば及第点と言えるのでしょうか?アメリカ消化器内視鏡学会(ASGE)のガイドラインでは、ADR 25%以上が検査医に必要とされるため、一つの基準と扱って良いのではないでしょうか?

『検査担当の先生のADRはどれくらいですか?』日本もそのような質問が飛び交うようになる日が来るかもしれません

あくまでADRは一つの参考でしかありませんが、当院ADRは2021年3月現在約60%です(2018年4月〜2021年3月)
検査の質についてはどこに出ても恥ずかしくないくらいではある、と自負しており、これをさらに高めていく工夫、努力、鍛錬は今後も続けていく所存です。

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